診断事例

土葺き瓦屋根の桟瓦のズレについて

土葺き瓦屋根の桟瓦のズレについては様々な原因がありますが、葺き土の施工方法に起因するケースが多くみられます。桟瓦の葺き土の施工方法(土の置き方)は、べた置き、筋置き、だんご置き等と呼ばれる大きく3種類にわかれます。べた置きは、屋根下地全面に隙間なく葺き土を置いて桟瓦を施工します。土の量が多いため、土葺き屋根の中では比較的瓦がズレにくい工法となりますが、屋根重量が重くなるデメリットがあります。だんご置きは、桟瓦の下に手のひら大のだんご状の葺き土を置いて施工します。使用する葺き土が少量ですむため、屋根重量が軽くなるメリットや低予算で施工できるメリットがありますが、だんご置きは葺き土同士がくっついていない状態のため、経年劣化により非常にズレやすい傾向にあります。筋置きは葺き土を縦方向に筋状に繋げて置いて桟瓦を施工します。葺き土が縦方向に繋がっているため、だんご置きに比べて桟瓦がズレにくく、べた置きより屋根重量が軽くなる施工方法となります。
葺き土の施工方法がどの場合でも、桟瓦に銅線での緊結が併用してある場合や、杉皮の上に土抑えの横桟が細かく打ってある場合は、桟瓦が非常にズレにくい施工となります。

土葺き瓦屋根の桟瓦のズレの原因については、葺き土の置き方以外にも様々な要因があります。
・桟瓦の葺き足が緩い(桟瓦同士の間に隙間がある)場合、経年劣化により葺き土の固着力が低下してズレが発生します。
・桟瓦が1枚ズレただけでも、放置するとその影響でどんどんズレが発生します。
・土葺き瓦屋根の特徴として、右斜め下方向に力(自重)が加わるため、経年劣化により屋根の右下部分は特にズレが発生しやすい個所となります。
・土葺き屋根の屋根下地には通常杉皮が施工されていますが、杉皮ではなくトントンルーフィングが施工されている場合、葺き土が滑ってしまい、非常にズレやすい傾向にあります。

対策と屋根修理の方法

・瓦をはずして瓦の間に挟まった土を掃除して戻す程度で可能だが、瓦をはずして掃除して再施工した場合、葺き土と本来接着していたものが接着されていないためズレやすくなってしまいます。
・屋根の劣化状態に応じては、今後を考えて葺き替え工事をご検討されたほうが良い場合もあります。

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