診断事例

瓦へのコーキングについて

古くなった瓦屋根のメンテナンス、簡易的な瓦のズレ補修に「瓦をコーキングで接着する」工法があります。
瓦と瓦をコーキング材(接着剤)で固定し、経年劣化によりズレやすくなった瓦屋根を一時的に固定する方法となります。
一部の訪問業者は、この工法を「ラバーロック」という名称で呼んでいます。

雨漏りする前に瓦屋根に施工する適材適所のコーキングは、瓦がズレない、工事費用が比較的安く済む等のメリットがある場合がありますが、瓦をコーキング接着した屋根を今後修理する場合に、ナイフで切り離すなどの作業に手間や費用がかかってしまうデメリットもあります。

適材適所のコーキングとは、瓦の性能を損なわない桟山か襟にのみコーキングする事であり、瓦の上下左右4辺全てをコーキングする事は、瓦屋根の知識のない素人の仕事であり、最もやってはいけない施工方法となります。
瓦へのコーキング作業は簡単ですが、コーキングの必要性の有無や必要箇所には有識者の判断が必要になります。

瓦は外気にさらされているため、瓦の内側で結露がどうしても発生してしまいます。
瓦と瓦の重なりにはわずかな隙間があり、内側の湿度を乾燥させる『呼吸』ができ、瓦はその隙間から結露の水分を逃がしています。結露の水分は想像以上に多く発生するため、瓦の全面をコーキングで塞いでしまった場合、結露の水分を逃がす隙間がなくなり、雨漏りに繋がってしまいます。

 

対策と屋根修理の方法

・瓦がズレていなければ、コーキングをカッターで切り離すだけで対応可能な場合もあります。
・ズレている瓦にコーキングしてある場合は、コーキングを切って瓦の重なりを確保して、銅線や釘で再緊結する必要があります。
※瓦にコーキングしたお宅で雨漏りが発生している場合には、コーキングにカッターを入れても雨漏りが止まらないケースが多いため、葺き替えを視野に入れて屋根修理をご検討する必要があります。

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